足は・・・長くて・・・

お、店長の美男子範疇であろう、背も高い。

鼻筋も通ってる通ってる。

分厚い眼鏡・・・はしてない、か。

まじまじと見ていたら、切れ長で大きな瞳が美鈴の視線を捕らえた。

その瞳はとても深い色をしていた。

思ってたのと違う・・・きれいな顔。

拓海は白くて透き通るような美しい肌をしていた。

キュッと結んだ唇が少し開く。

「で、予約本は。」

美鈴の心臓がその低声に飛び跳ねた。

そうそう、そうだった。

「こちらです。計三冊ですね。お間違えないかご確認下さい。」

ふと我に返って、美鈴はテキパキと対応した。

拓海は本を一瞥すると、美鈴に向き直って「間違いないです。」と言った。

なんだか、わからないけど、人を寄せ付けないような冷たい空気が拓海をまとっている。

美鈴は、にこりともしないその美しい顔を見つめ続けることができず、すぐに視線をそらすと本を袋に詰め会計を急いだ。

「5800円になります。」

お札を掴んだ細くて長い指が美鈴の前に伸びてきた。

いやだ。

なんだかドキドキしてる。

こんなことあまりないのに。

おつりを渡す時、その美しい手に自分の手が少し触れた。

その瞬間、拓海はさっと手を引いて、おつりを無造作にポケットに突っ込んだ。

「どうも。」

拓海は小さな声でそう言うと、美鈴を見ずに本を抱えて足早に店から出て行った。

まだドキドキしてる。

美鈴は小さく深呼吸した。

だけど、おつり渡した時、ちょっと触られたくらいであれはないんじゃない??!

まるで私が汚いみたいじゃない?

美鈴は、触れた瞬間拓海がさっと手を引いた事に、腹が立つというよりうっすら悲しい気持ちになった。