「これから?」

お腹がぐぅと鳴った。

「はい、大丈夫です。」

拓海と市立病院前の公園で待ち合わせをした。

とりあえず、おにぎりを一個口に突っ込んで、外に飛び出す。

店長に何があったんだろう。

病院にいるってことは、きっとあまりよくないんだ。

だけど、どうして拓海が店長に付き添ってる??

夢中で走った。

こんなにも全速力で走ったのって、高校の時にしたリレー以来じゃないかしら。

市立病院は、美鈴のアパートからゆっくり歩いて20分くらいのところにある。

一番早いのはバスだったけど、あいにくこの時間にはバスは一時間に数本しかなかった。

走った方が早い。

走りながら、もう一個おにぎり食べてこればよかったと後悔する。

だって剣道でエネルギー消耗してる上に食べてないんだもん。

そんなことを思いながら走っていたら、病院が見えてきた。

時間的に人気もまばらになった少し寂しい公園に着く。

拓海の姿を探した。

こんな寂しい公園、嫌い。

なんだか怖いし。

一応私も女の子だし。

小さい頃、迷子になって泣きそうになってた自分を思い出す。

色んな不安で押しつぶされそうになっていた時、ふいに背後に人の息づかいを感じた。

振り返ると、拓海が立っていた。

公園にまばらに設置されている電灯の光が、拓海の白い顔をうっすらと浮かび上がらせている。

薄暗くても、その端正な顔は健在だった。

「美鈴さん?だよね。」

彼は静かに言った。