次の日、美鈴は珍しく学校を休んだ。

ずる休みなんて、今までしたことないのに。

朝起きたら体中が強ばって痛くて、頭もがんがんしていた。

これが二日酔いってやつなのかもしれない。

美鈴は、とりあえず一杯のミネラルウォーターを飲んだ。

少しだけ胃の中がすっきりしたような気がした。

だけど、体も気分も重たくて、学校へ行く気にはならなかった。

そのまま再び布団に潜り込んだ。

どれくらい時間が経ったんだろう。

布団の中でまどろみながら、時々寝ていたのかもしれない。

カーテンは閉めっぱなしだったけど、カーテンの間だから漏れる光が、白からオレンジ色に変わっていた。

多分、午後回ったんだろう。

ゆっくりと体を起こす。

朝から何も食べてなかった。

だけど、特にお腹が空いた感じもない。

とりあえず、糖分とってエネルギーくらい補給しなくちゃね。

美鈴は冷蔵庫に冷やしてあったチョコレートを一かけ割って口に放り込む。

甘い。

チョコレートの甘さって、どうしてこうも癒されるんだろう。

チョコレート舌先で転がしながら、カーテンを開けた。

美鈴の住むアパートの前には小さな公園があって、朝と夕方には子供達でいっぱいだった。

学校帰りの小学生が、寄り道をして遊んでいるのが見える。

「あの頃が一番幸せだったよなぁ。」

美鈴はポツリとつぶやいた。

何も考えなくても、ちゃんと生活ができていて、全てがとても単純で明快だった。

恋の痛みも経験しなくていいし、友達だって、色んな友達がいつでもそばにいた。