その時、ある言葉が頭をよぎった。

___〝営業先だろうがタレントだろうが、仕事が円滑に進むためなら男女関係にすらなるって〟

 佐伯さんに言われたこの一言。



___ドンッ


 もう1度キスしようとしてきた逢阪を、両手で拒否してしまった私。

「鈴?」

「……仕事のため?」

「………は?」

「私をあなたに夢中にさせて、それで仕事が上手くいけばって思っているの?」

「何か言われた?佐伯か?」

「だって……私にこんなことしてくる意味がわからない」

「鈴が俺にべた惚れだから」

「うるさいっ……自分のこと好きな子には平気でするんだ?家に呼んで、お風呂だって貸して、不意打ちでキスしてくるんだ」

「するわけないだろ」

「してるじゃんっ」

「鈴だからだよ」

「………!」

「鈴にしかしないよ、こんなこと」

「どうして?」

「……見てわかれよ。俺だってお前に惚れてるんだ」