リビングのテレビ台に収納されたゲーム機とゲームソフトを見て、思わず目が輝く。

「なんで?」

「俺がゲーマーってこと、いちるから聞いてねーの?」

「知らない!こんなに持っていたの?」

「ああ。といっても、なかなかやる時間なくて、ほぼ手をつけてないが」

「勿体ない!」

「気になるやつ買って、そこに置いてあるんだ」

「いいの?やって」

「お好きにどうぞ」

 そう言うと、逢阪は風呂場へと消えて行った。



 逢阪の家にあるゲームは、私の趣味とかぶっていた。

 いちるも、ここで逢阪と一緒にゲームしたことあるのかな。

 明日はオフだから、思う存分、徹夜でプレイすることが可能ではないか。

 最高だ。


 **

「結局巨人のやつにしたのか」

 逢阪がお風呂からあがってくる。

「うん。これ、実際に飛び回ってる感覚で面白いってレビューにあったから」

「で?面白いのか?」

「かなり!」

「……へぇ」

「やってみる?」

「俺はいいよ。見てる」

「ええ、やりなよ。面白いから」

「お前見てる方が面白い」

 逢阪は、片手に缶ビールを持っている。

「お風呂上がりにビールって、オヤジっぽい」

「もうオヤジだからな」

 逢阪、今31だっけ。どうも出逢った頃から変わらなさすぎて、20代ってイメージしかない。