湯船からあがると、真っ黒なスウェットが用意してあった。

「でかっ……」

 男物だろう。足があまりすぎる。

 いちるくらいの体型の人ならピッタリかもしれないけれど、私にはどう考えても合わない。

 リビングに行くと、逢阪がタバコを吸っていた。

 私に気づくと、いきなりこっちを見て笑う。理由など、聞かずともわかる。

 このブカブカ具合にウケているのだろう。

「笑うな!」

「や、思った以上に黒猫が小さいから」

「これでも、背は伸びたんだよ?私、人より成長期が遅かっただけだから」

「あっそ」

「どこ行くの?」

「俺も入ろうかな、風呂」

「………」

「冷蔵庫にあるもの適当に飲んだり、奥の部屋でくつろいだり、好きにしてていいよ」

「好きにしていいって言われても」

「PS4あるけど、やる?」

「!」

「巨人を駆逐するやつあるけど」

「ホントに!?」