「お前はよく頑張ってる。それを俺は知ってる。側にはいられないけど、ちゃんと見てるから」

 …………逢阪?

「今朝のことなら、俺がなんとかする」

「なんとかって?」

「俺に任せろ。だから今夜は美味いもんでも食って、元気出せ」

「……!?」

「どうした?」

「怒ったんじゃないの?」

「怒りたくもなる。俺がこんなにお前に期待しているのに、当の本人がこれじゃ」

「期待……?」

「そうだ。俺だけじゃない。周りのやつらもだ」

「………」

「いちると並んで目立ったとか、俺の力で仕事がまわってきたとか。そういう後ろ盾はあるが、お前でなきゃこうもうまくいかなかった」

「………?」

「お前、ほんとわかってねーな」

「何を?」

「言っただろ、鈴は逸材(いつざい)だって。今に化ける」

「………!」

「とりあえずお前、学校やめろ」

 それは、唐突すぎる提案だった。

「あんな場所辞められるものなら辞めたい」

「俺に考えがある」

 国民の義務を果たさなくてもいい手段を知っているのだとしたら、いよいよあなたは、ただものではない。