「私、いちると表紙になったから注目されただけ。あなたの紹介だから仕事が決まってる。私には、なんの力もない」

「…………」

「それどころか、学校で、トラブルだって起こしてしまった。こんなんで仕事受けちゃって大丈夫なのかな。その化粧品のイメージが悪くなるとかでクビになったりしないかな」

 私は今朝学校で逢阪宛にメールを送っていた。浅倉に注意を受けた直後、全校集会に出ずに何が起きたかを事細かに書いて送った。

 同級生に写真を撮られて、心無い言葉と一緒に張り出されたことを。

 だから〝顔をかせ〟だなんて電話で言われた時は、てっきりその件でお叱りを受けるとばかり思っていた。

 なのに……

 逢阪は一切そのことに触れてこずに、こうして呑気に食事なんてしている。

 そして、これまで以上に大きな仕事の話が舞い込んできたと言うではないか。

「私よりピッタリな人、大勢いると思う。私、やっぱり向いていなかった。こんなキラキラした世界に足を踏み入れていいような人間じゃなかった」

___しまった、と思った。

 だけど、気づいた時にはもう、遅かった。さっきまで微笑んでいた逢阪の口元が引きつったのがわかったから。

「お前、それ本気で言ってるのか?」

「や、あの……」

「なら、やめるか?」

 …………!

「友達との仲良しこよしが上手くいかなくて、嫌になったか?信じてる人間に裏切られて悲しみのどん底にいる、可哀想な自分に酔ってるのか?」

「なにそれっ……!」

 そんな言い方、しなくてもいいじゃない。

「俺がどれだけお前のために身を粉にしてるか想像できるか?……できないだろうな。ガキめ」

「………!!」

「なんだその顔は。不満があるなら、今すぐやめろ」

 なっ…………

「既に決まった仕事だけ死ぬ気でやれ。でなきゃ違約金が発生したら、自分で払えよ。今の話も白紙だ。そして俺の顔に泥を塗ったお前は、二度とこの業界には戻れない」