浅倉の言葉を無視して空き教室に残った私は、震える手でスマホを操作していた。
メールの送信完了画面を確認した私は教室へ行き、鞄と回収した張り紙をもって、そのまま学校を離れた。
**
家に帰ると、制服を着たまま自室のベッドへと倒れ込む。
いつもしているようにPCの電源を入れる気力もない。
始業式とはいえ、妙に帰りのはやい私におばあちゃんは『おかえり、鈴ちゃん』といつも通り声をかけてくれた。
それだけで無性に泣きそうになったから、すぐに階段を上ってきた。
「……っ…………」
『私、百瀬茉由。モモでもまゆでも、好きに呼んでくれていいよ。鈴ちゃんって呼んで良い?』
私の目に見えるバリアを平気で潜(くぐ)ってきたモモに日に日に心を開いていった。
『この化粧も髪型も、男ウケ狙ってる。せっかく女の子に生まれたんだもん。お洒落したい、可愛く見られたいって思うのは、悪いことじゃないでしょ?』
ふわふわしてそうで、サバサバしているところが好印象だった。
『鈴ちゃんのこと侮辱しないでくれる?』
私が悪口を言われた時は、自分のことのように怒ってくれた。
そんなモモのこと、信じたかった。
最初から疑えば、こんなに絶望することもなかった?
モモの気持ちにはやく気づけば、なにか変わっていた?
メールの送信完了画面を確認した私は教室へ行き、鞄と回収した張り紙をもって、そのまま学校を離れた。
**
家に帰ると、制服を着たまま自室のベッドへと倒れ込む。
いつもしているようにPCの電源を入れる気力もない。
始業式とはいえ、妙に帰りのはやい私におばあちゃんは『おかえり、鈴ちゃん』といつも通り声をかけてくれた。
それだけで無性に泣きそうになったから、すぐに階段を上ってきた。
「……っ…………」
『私、百瀬茉由。モモでもまゆでも、好きに呼んでくれていいよ。鈴ちゃんって呼んで良い?』
私の目に見えるバリアを平気で潜(くぐ)ってきたモモに日に日に心を開いていった。
『この化粧も髪型も、男ウケ狙ってる。せっかく女の子に生まれたんだもん。お洒落したい、可愛く見られたいって思うのは、悪いことじゃないでしょ?』
ふわふわしてそうで、サバサバしているところが好印象だった。
『鈴ちゃんのこと侮辱しないでくれる?』
私が悪口を言われた時は、自分のことのように怒ってくれた。
そんなモモのこと、信じたかった。
最初から疑えば、こんなに絶望することもなかった?
モモの気持ちにはやく気づけば、なにか変わっていた?