オシエタ？

「言ってなかったけど私、日下くんの家にあげてもらったこともあるんだよ」

「大地の部屋行ったの？」

「うん。私たちくらいの男女が2人きりになれば……なにかあっても不思議じゃないよねぇ？」

「大地がモモに手を出すとは思えない」

「ほんと、わかってない。男なんてちょっと誘えば、理性が飛んじゃうんだよ」

「でも……」

「ずっと好きな子の側にいて何もできず、ヤキモキしてきたんだから。無理もないよ。日下くんのキスは、すっごい優しいんだよ？」

「うるさい」

「初めてって割には上手だったし」

「うるさいって」

「まだキス止まりだけど、次会ったらもうちょっと先まで進めそうな気がする。鈴ちゃんは、どう思う？」

「……やめて」

「え？なに？聞こえないよー」

「やめてって！」

「なんで？お互い合意の上だよ」

「大地は、そんなやつじゃない。モモみたいに平気でそういうことできる人じゃないから、きっと、責任感じてる」

「責任？」

「わかってやってるんでしょ？」

「………うん、わかってるよ。私とこういうことになった以上、きっと日下くんは〝好きになっちゃった〟なんて私が言ったら、きっと私のものになってくれる。たとえ鈴ちゃんのことが好きでもね」

「それで、どうするの？大地のこと、いいように利用して捨てるの？」

「やだ、鈴ちゃん。私のことそんな悪女だと思ってる？」

「似合わないよ。モモに大地は、勿体ない」

「………！自分ならお似合いって言いたいわけ？」

「言わない。私にだって勿体ない。いいやつなの。だから、弄(もてあそ)ぶようなことは、やめて」

「やだ」

「なっ………」

「嬉しい」

「………は？」

「やっと、鈴ちゃんの嫌がる顔が見れたんだもん」