「大切な子が傷つけられてるのに、黙って見てられるかよ」

「…………！」

「応援なんてしたくない。だけど、こんな形でお前の夢めちゃくちゃにされるなんて、嫌だ」

「大地……」

「お前、俺にしばらく話しかけんな」

「え？」

　言葉とは裏腹に、とても優しい声。

　大地、今あなたは、どんな顔してる？

「そうすりゃ俺との噂なんて、そのうち消えるだろ」

「………！」

「負けんなよ。せっかくやりたいこと見つけたのに、こんなことで……負けんなよ」

「うん。負けない。ありがとう。私、もう大地に嫌われちゃったかと思ってた……」

　でも、違った。大地は私を嫌ってなんてなかった。

「あーもう。鈍過ぎ」

「え？」

　こっちを振り返った大地の笑顔は、やっぱり眩しかった。いつもの大地の笑顔。太陽みたいな笑顔。

「好きな子が好奇な目で見られる仕事、応援しろって方が酷だと思わない？」

「………！？」

「こんな酷いことする、心無い連中が世の中にはもっと大勢いるんだぞ」

「そ、それは……そうかもしれないけど……」

　って、待って。好きって言った？

　好きな子って……！？

「だからって、鈴らしくないとか似合わないとか。思ってもない酷いこと言って、俺が鈴のこと傷つけてちゃ意味ねーよな」

「大地………」

　ごめん大地……大地の想い、全然わかってなかった。

　ごめん………

　大地は、私のこと、心配してくれていたんだね。