翌日、
放課後。


稽古前に、道場で向かい合った七海先生と私。


防具を着けて、身構える七海先生の気迫が、半端ない。


思わずたじろぐ。
しかもこの場に来たのすら喧嘩して辞める発言して以来だ。


久し振りに袖を通した防具にも、何となく違和感まであって、ぎこちなくなる。プレッシャーでまた手に汗が滲む。


こんなことになるなら、ちゃんと稽古に来ていればよかった。
後悔した。


退院して学校に戻った顕奘さんも、少し痛む足を庇いながらそこで見ている。


いなくていいのに!!


「あれ、誰??何が始まるの??」


「七海先生らしいよ」


「えっ!?七海先生、剣道するの??」


「出来るの!?」


「まあ一応、自分の防具らしいから」


垂れに名前も書いてある。
剣道の防具は、人のものを借りるのは抵抗がある。とくに面は。


初めて見た防具姿に生徒たちがザワつく。それはそうだろう。七海先生が剣道をするなんて、誰も思っていなかった。


「ねえ何で七海先生がここにいるの??」


「阿久津先生を賭けて、勝負するらしいよ」


「え"~~っ!?」


審判が咳払いすると、生徒が喋るのをやめた。


「始め!!」


二本勝負で、先に二手、または高得点を取った方が勝ちというルールを作った。