「剣道で勝負しましょう、榛葉さん!!」
「え"っ!?剣道、されたことあるんですか!?」
「私だって本当は、高校の全国大会のときから一目惚れしてたんです!!こんな形で再会できるなんて思いませんでしたけど」
初耳だった。
それもあったから、もしかしたらあのとき、道場の外から見ていたのか。
「だからそんな簡単に諦めることは出来ないんです!!」
顕奘さんを賭けて、となると私にもプレッシャー半端ない。
「…無理するなよ、嫌なら断ればいい」
「ダメですっ!!逃がしませんよ!?振り向いてくれるまで諦めませんから!!」
「ほらあ」
私はげんなりする。
一難去ってまた一難か。
やっと七海くんがいなくなるのに。
「じゃあ僕も参加しようかな、愛芽ちゃんが負けたら、今度こそ僕と付き合う。それとこれ、置き土産」
「お前もしつこいな」
言って、うっ、となる。
七海先生とのツーショット写真が、スマホに保存されていた。
「二股かけてると思われたくなかったら、黙って勝負見ててください。愛芽ちゃんが勝ったら、ちゃんと削除します」
ますます負けられない。
でもやらないと、少なくとも七海先生は諦めてくれなさそうだ。
「……やりましょう」
「おいおい、大丈夫か!?」
「………たぶん…」
胃が痛くなる。