「どこ行くんですか!?ダメですよ!?顕奘さん!!」


屈んでチワワと遊んでいた七海先生が、私を連れ出そうとした顕奘さんを止めようと立ち上がった。


顕奘さんの近くでスカートを踏んでバランスを崩して抱き付く。


「きゃっ!?ごめんなさい」


顔を上げると、そのまま顔を寄せてキスをした。


「あっ…!?」


目の当たりにして固まる私。
顕奘さんも一瞬固まった。


数組いた他のカップルも、あっ!となる。


「ご、ごめんなさい。みんなの前で」


わざとなのは何となく気付いた。七海くんが不意に立ち上がると、手を取った。


「行こう」


「えっ…」


そして靴に履き替える。


「おい、待て…」


追い掛けようとした顕奘さんにしがみ付く。


「ダメ!!」


「愛芽ちゃんは、僕と付き合ってるんだよ??忘れないでね!!」


言葉に詰まる。


「先生たちのことは忘れること!!いいね!?」


「…う、…うん…」


そのまま強引に手を引かれて出てしまった。