見えないところで知らないことをされるより、とは思ったけれど。


知らなくていいことも、見なくていいものもある。


七海先生のいちゃいちゃ加減に引くほど驚かされた。


ドッグカフェの犬は基本小型犬が多い。多少苦手な人間でも抵抗なく怖がらないようにするためだろう。


約10匹ほどのチワワやら、ポメラニアン、ミニチュアダックス、プードルが、10畳ほどのフローリングをところ狭しと駆け回る。


入ると上履きのクロックスに履き替えた。どさくさの脱走防止にしてある柵をずらして開けて部屋に入る。


犬たちへの衛生上、ハンドソープで手を洗い、消毒液を掛ける。


前払いでドリンクと遊ぶ時間分の代金を支払う。大抵一人一時間千円だ。


犬は高いところが苦手で乗ることも降りることも出来ないので、人間用の飲み物は棚の上に置く。


だから大人しくさせるためにも、トリミングや手当ては高い台の上でする。


人間でも、自分の背丈の高さから頭から飛び降りろと言われたら、少し躊躇う。それと同じようなものだ。


「可愛い可愛い!!くすぐった~い」


手を洗う間も、ワンワンと大歓迎された七海先生は、足首辺りをペロペロと舐められ、キャッキャとはしゃぐ。


「おいでおいで!!」