「愛芽ちゃん、なんで無視するんだよう、寂しいじゃんかあ」


当の本人はお構いなしだ。
授業が終わって教室に戻ると七海くんが飛んできた。


こいつは、バカなの??周りの人間の迷惑も空気も読めないの??


「……悪いんだけど、もう構わないでくれる??迷惑だから」


あまりの能天気さに、ついに我慢の限界を超えた。


が。


今度は目をうるうるさせ、


「迷惑??迷惑なの???」


捨てられそうな仔犬みたいな目になる。


まるで私が虐めてるみたいじゃない!?
仕方なく、


「……ごめん、言い過ぎた」


折れてしまう。
すごく扱いにくい。


ぱあっと満面の笑みになると、こともあろうか、いきなり抱き着いた。


「よかった!!愛芽ちゃん、僕のこと嫌いにならないでね!?」