授業が始まっても私はずっとそのことばかり考えてぼんやりしていた。


せっかく再会できたのに、これでは何の意味もない。


隣の席になった七海くんは、間に合わなかった教科書を見せてと、密着してくる。


男子にこんな風にされるのは初めてだ。


聖ちゃんとも、確かに仲はよかったけれど、わざわざどちらからくっくつでもなく、いつの間にか一緒にいた。


それが本当の親友というか、友達だと思う。


むしろ弟ができたような気分だ。


が、女子がそれで納得するはずもなく。体育の授業前、更衣室で言われてしまった。


「榛葉さん、あなたどういうつもりで、七海くんと仲良くしてるの??確か初恋の人と再会したとか言ってたわよね!?」


「ど、どういうつもりって…」


向こうが勝手に、とか、直接本人に聞いて、とか言えそうな空気ではない。


「あんなにベッタリじゃ、他の子と友達になれないじゃない」


言いたいことはわかっていた。
他の女子が近付けないと。


でもそれは、私がちょっかい出してる訳じゃないし、友達がほしかったら自分から行ってる。


なんか理不尽な責められ方だ。


だからといって、初恋の人といきなり喧嘩してどうなるかわからない、とも言えない。


「わかってるよ。私、邪魔なんてする気ないし」