私、榛葉愛芽(ハシバマナメ)。


愛が芽生えると書いて、まなめ、と読む。お気に入りの名前。


華奢なちびで、よくいじめられたけど、遠い昔の話。


七歳の頃、お隣に住んでいた、中学生のお兄ちゃん。


阿久津顕奘(アクツケンゾウ)さんは、容姿端麗、頭脳明晰(たぶん)、スポーツ万能(らしい)、


当時まだ幼かった私が持ってる情報なんてたかが知れてるけど。


私の中でその人は、理想の王子様として、120点を優に越えていた。パーフェクトヒューマンだ。


剣道もしていて、竹刀を持ったときの気迫は別人のようだった。


一度、全国大会の試合の応援に行ったときに惚れ直した。


団体、個人ともに大会を総なめにしたのだ。