目を閉じた。
そのとき。
聖ちゃんの体が、私から離れた。後ろから襟首を掴まれて。
イタズラが見つかった猫みたいに。
「け、顕奘さん!?」
「いい加減にしろよ、そいつは当の昔から俺の唾つきなんだからな」
吐き捨てると、聖ちゃんの腹部に膝蹴りが入った。
「うっ…」
「キレーな顔は勘弁してやる」
「な!?何するのよ!?いきなり!?」
と、放り投げた聖ちゃんの後ろの方に、数人の男の子たちが既にやられたのか、伸びている。
何が起こったのか、ポカンとする私に、
「……こいつら、賭けしてやがったんだよ。……お前を落とせるかどうかって…な」
私を傷つけたくないと思ってか、言いにくそうに。
