「よう、偶然だねえ。いいなあデートか」
聞き覚えのある声が、頭の上から降ってきた。
顕奘さんだ。
「なっ…!?なんで!?」
「俺も、飯食いに来たんだ。隣いいかな」
飯って、飯って。家の近所とか、他の店とか、一杯あるでしょうが!?
聖ちゃんはといえば、やっぱりこのいかつい風貌に、すっかり飲まれてる。
派手なシャツから高そうなネックレスが覗き、スカルのリングまで付いている。
改めて客がざわつく。
モデル並みの美少年の傍に、場違いないかつい男。ドラマの1シーンのようだ。
こいつはどうしてこう、私の幸せを邪魔してくれるのか。
「…い、い、いいですよもちろん!!どうぞどうぞ」
「いいわけないでしょう!?邪魔ですから。他の席にどうぞ」
一番驚いているのはもちろん聖ちゃんだ。女子高生がヤの付いていそうな大人相手に喧嘩腰なのだから。
聖ちゃん相手に取っ組み合いしたときとは違うのだ。
何かあっても守れない。
「他にも席は空いてますよ??」
私は構わずさらに続けた。
が、奴は聖ちゃんの隣にドカッと座る。
「さあて、俺に構わず、話を続けてくれよ」
今買ってきたハンバーガーを豪快に食べ始めた。