懐かしい道。
高校に入ってから通ることもなくなった。
マンションを出て高校へは私鉄の駅まで自転車で、そこからは電車で二駅。そこから歩いて5分。
今日は駅からバスに乗って三個めのバス停で降りて商店街に入る。その一角にその店はあった。
店に入ると、聖ちゃんは手を上げて、私は笑顔で応えた。
聖ちゃんは少し痩せて大人の顔になりつつあった。
普通にしていても見惚れるほどの容姿に、伸ばした髪はサラサラで。
いつモデルにスカウトされても不思議ではないお洒落な少年になっていた。
それだけに、店で待っていた間も、視線は集中されていたようで、私が入ったときは羨望の眼差しが寄せられた。
お洒落して出掛けたかっただけではなく、相手が聖ちゃんだったから私も気を抜けなかった。
釣り合うように、とは言わないまでも、一緒にいて恥ずかしくないように、気を配りたかった。
あくまで『親友』であり、それ以上でもそれ以下でもないから。