長い廊下を一人で歩いて行く。

これからある方に会う。その人は紅
獅の総統である。

私は加藤那桐。
加藤家当主候補筆頭であ
る。紅獅の副総統の任を任されている。

そして、廊下の突き当りの部屋に着く。
「嘉綾様、那桐です。」
中から声がした。
「おお、来たか。待っていたぞ。入ってくれ。」

部屋の中に入ると嘉綾様と嘉綾様の補佐
役の蔭経正毅がいた。

嘉綾様は横になっておられた。たいぶ体
調が優れないようだ。

「那桐、悪いがこのままで命を告げさせ
てもらうよ。」

私はその「命」という言葉に息を呑んだ

「はい。覚悟しています。嘉綾様、ご無
理なさらないように。」