せめて学業だけは誰にも負けないように…と、

長く伸ばした前髪の向こう側、乱雑に書かれた黒板の文字をノートに書き写していく。

奴らは1から4限まで、静かに睡眠中だ。

どうせ寝るなら、いっそのこと学校にも来なくていいのに。

一丁前にイジメはするくせに、サボるだとか、先生に刃向かうだとか、そういう行為は出来ない。

言うなれば小心者の弱いものいじめ野郎なのだ。

タチが悪い。

僕にとっての平穏は、授業の間だけだ。

休み時間、体育の時間は奴らの標的となり、飽きるまで相手をさせられる。

この4限が終われば、地獄の昼休み。

無意識のうちに力が入っていたようで、シャープペンシルの芯がポキリと折れ、

書いていた文字が中途半端な部分で止まってしまっていた。

「では、今日の授業はここまで」

そう先生が宣言したと同時に、

みんなにとっては天国、僕にとっては地獄の昼休みを告げるチャイムが軽やかに響いた。

終わったー!ご飯食べよー!今日どこで食べる?なんていう楽しげな声をかわし、弁当を胸にかかえ、そそくさと教室を出る。

奴らに見つかる前に、避難しなければ。

今日はどこのトイレで食べようか。

1年のクラスのある階のトイレにでも行こうか。

小走りで行き先を決め、先を急ぐ。

昼飯くらいは食べたっていいだろう。

お腹が減ったんだ。








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