side:K.K
窓から差し込む朝日は、今日も天気が良いことを僕に知らせていた。
僕の気持ちとは裏腹に、チュンチュン…とスズメは軽快に鳴く。
昨日の夜、目覚ましをかけ忘れたにもかかわらず、
僕はいつも通りの時間に目を覚まし、二度寝すらできない状態だった。
一切の光を遮断するべくベッドに深く潜り込み、はあ、と一つ大きなため息。
学校に行きたくない。
出来ればこのまま横になっていたい。休みたい。
風邪気味だと、母親に嘘でもつこうか。
それとも、頭痛がするとか腹痛がするとか、
そういう理由のほうが信じてくれるだろうか。
なんてくだらない思案をしている間に、
ガチャッと僕の部屋のドアがノックもなしに開かれる音がして。
「啓太ー。朝よ。もう起きてないと学校間に合わないわよ!」
容赦ない母親の怒号がベッド越しに、僕へと降り注いだ。
しかたがない…。
「分かった、行くよ…起きるから…大きい声出さないで」
もぞもぞとベッドから上体を起こし、
まだ朝の7時にもかかわらず、メイクも着替えもしっかりと済ませた母親を見上げた。
さっきまで釣りあがっていただろう眉は鳴りを潜め、
穏やかな曲線を描いたそれが、優しく微笑む。
「あら、起きてるじゃない。もうご飯出来てるからね。早く降りてらっしゃい」
それだけを言い残して、一階にあるリビングへと戻っていった。
はあ、とため息をもう一つ。
母さんは知らないのだ。
もっとも教えていないから知らないのは当然なのだけれど。
僕が、学校でどういう扱いを受けているのか。
どういう存在なのか。
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