「ヒ、ヒロイン…!?
無理ですよこんなの!」


わたしは声を張り上げた。

いくらなんでもヒロインのオーディションなんて…

負け戦にも程がある!!!


「そ、そんな怒んなくても…
その関係者の方が、希生ちゃんにって渡してくださったのよ。
どんな意図があるんだかわからないけど…
…う、受ける?」

「え、だって、ちょい役すら掴めないんだもん…
受けるだけ無駄ですよ…」

「そうかもしれないけど…受けるだけ、ね?」


絶対無理だよ…

受かるわけない…


それに、わたしはヒロインのオーディションを避けてきた。

はじめて落ちたのがヒロイン役だったから…

トラウマだった。

まじまじと封筒を見つめる。


でも…


「それに、希生ちゃんの夢はヒロインを演じることでしょう?」