「じゃあ聞くけど、君はボクのことをあの3年間で好きになったの?」

そう…鳴海は千歳に「まいった」と言わせるのに3年もゆうしたのだ。何とも気の長い…

「な・な・なんでそんなこと答えなきゃなんないのよ」

「いえ、別に」

いつから好きかなんて、そんなものはあいまいだ。

でも鳴海は策略家で、普通の好きを恋愛の好きに操作するなんて簡単なのだ。

相手を良く見ていれば分かる…

そんな余裕めいた顔にカチンときたのか、さつきも反撃に出た。

「じゃ、こちらも聞くけど、いつ私のことが好きになったのかしら?」

「…もちろん高校の時からだよ」

「へ?!」

臆面なく言われ、千歳はあわて始めた。

「え?ウソだ、それって初めて聞いた。え、そうだったの?えー?!」

高校時代、そんな風な態度を鳴海は一度も見せなかったではないか?!と少しパニクっている自分の妻を見て、くすりと満足げに笑うと、

「ウ・ソ」

と言った。

「…」

しーんと室内が静まりかえる。