二日徹夜が続き、修羅場中のマンガ家のように千歳は目が血走っていた。

いっこうに眠気は訪れず、甲状腺がはれてるのではないかと心配になってくる。

はたして鳴海はどんな手で口説くつもりなのだろう…

かつて社長として有能だった鳴海なら、さぞ色々な策略をしかけてくるだろう…

などと、かなり身構えながら千歳は鳴海が出勤するのを待ち受けた。

カランコロ〜ンと、ドアベルの音とともに鳴海は現れた。

「おはようございます」

千歳は負けるものかと、今日は目をそらさないで挨拶を返した。

「おはようございます」

よーし、大丈夫、大丈夫。





「…で、どうなったの?」

興味津々の目で男の子が続きをせがんだ。

「…」

さっきからソッポを向いて、話しを聞いているさつきは、答えるつもりはないらしい。

「知りたい?どんな攻略をたてたか」

楽しげに鳴海は、その子の顔をのぞき込んだ。

「もちろん!ボクも使わせてもらうもんね」

「ナマイキよ〜良平君」

向こうを向いたまま、さつきはつぶやいた。

「はいはい、君は黙っててね」

そう言うと鳴海は続きを話し始めた。