「お待たせしました。特製のケーキセットです。」


渡されたのは苺ショートに真っ赤な蜜がかけられているものだった。


「私…まだ頼んでませんけど」


そう、私は席案内をされ一段落したところなのだ。


頭上に疑問符を浮かべているとミリアが耳元に近づいてきた。



「この店の秘密…知りたいのでしょう?」


13歳とは思えない色気のある声で囁いた。さっきまでのミリアとは別人のようだ。


「これ、どうぞ!ケーキは試食ですので無料ですよっ」


始めの子供っぽい声に戻ってパタパタと厨房へ帰って行った。