控えめなノックの音がした。…まさかあのバカ…すっぽかしやがったな?!

『…あの律さん。岳から頼まれた物があるんですけど…』

やっぱり彼女か…

「はい…今開けますね」

―ガチャ……

ドアを開けてみると案の定、珈琲豆を抱き抱えて俺を見上げているルナが立っていた。

『これっ…どうぞ…』

「…ありがとうございます。…すみません、岳に押し付けられたんでしょう?」

『ぃぇっ…そんな事無いです』