あたしは深い眠りについていた。


学校に監禁されてから、こんなにすんなり眠りに落ちたのは初めてだった。


自分が持ってきた薬品のせいで赤川先輩が自殺したかもしれない。


空音はあたしを守るために岡崎君を殺してしまった。


それなのに空音は「これであたしと愛莉は同じ人殺しでしょ?」そう言って、笑ってくれた。


1日の色んな思いが過ぎ去って行き、あたしは夢を見ていた。


いつもの教室、いつものクラスメート、いつもの授業。


時には退屈で、時には面白く、時には憂鬱。


そんな学校生活が広がっている。


あたしは夢の中でも辻本先生の事を目で追いかけていた。


笑っている先生。


怒っている先生。


生徒と一緒に悩んでいる先生。


まだまだ短い時間しか授業を受けていないけれど、辻本先生のいろんな顔を見てきた気がする。


生徒と先生じゃ思いは通じない。


だけどいつか、この気持ちを伝えることができたらいいなと思っていた。


そしてそれは、あたしが卒業する日だということも、もうわかっていた。


『こら中山、なにボーっとしてるんだ』


辻本先生のそんな声が飛んできて、あたしの頬は赤く染まる。


注意されただけでも、こんなにも嬉しい。