「そうですか……こうして見て見ると、誰が感染しているのかわからなくなりますね」


「やめてよ空音ちゃん。体育館内で感染者が出たら大変な事になるんだから」


「そうですよね、ごめんなさい」


空音が申し訳なさそうにそう言っている。


体育館内に感染者……。


その言葉が脳裏で繰り返される。


あたしはまだ大丈夫なんだろうか?


ふと、そんな疑問が胸に浮かんできて、あたしは目を開けた。


眩しいライトに一瞬顔をしかめる。


自分が感染していないなんて、言い切る事はできるの?


ウイルスは空気感染する。


それなら、もう感染していてもおかしくないんじゃないの?


あたしは自分の手の平を見つめた。


いつもと同じように見える自分の体。


潜伏期間は1日から2日だっけ。


それなら、いつ発症してもおかしくないかもしれない。