急に彼が私を見て、クスクス笑いだした。

「だから今日、すごく楽しそうだったから、うれしかった。」と言った。

「見てたんですか?」

「はいっ。」彼は笑顔で子供っぽく言った。

「知らないと思ってたから、ハメはずしてました。」赤面した私をみてまた笑った。
気付かれないと思い込んで、掛け声や、お決まりの振り付け、かなりの大盛り上がりだった。想像しただけで恥ずかしい。

私は思わず、椅子から落ちそうになった。

「大丈夫?でも…すごく楽しくしてるのを見て、会ってみたくなったんです。」
私はドキッとして、息苦しくなった。
たぶん、スイッチが入った瞬間だったと思う。

うれしいけれど、どう返事をしたらいいのかわからなくて黙ってしまった。

7歳も年下の彼、しかもアイドルに、本気でこんなにときめいて恥ずかしかった。でも、最初で最後、楽しく過ごしたい。

「…」

「時間はまだありますか?」と聞かれ

「ありますよ。」と元気に私は答えた。

「じゃあ、あそこを散歩しませんか?」とすぐ下に見えるクリスマスのイルミネーションが綺麗な公園を指差した。

「行きたい!」と言って、顔を見合せ席をたった。