「じゃあ、お先に失礼しまーす。仁科さん、行きましょ!」

「あぁ」



その日の夜。19時に仕事を終えた梅田さんと仁科さんは、ふたり一緒に裏口へと向かう。

今日は閉店までの勤務の私と松さんは、ふたりでその光景を店頭から見送った。



「あのふたり、ああして見るとお似合いだよね。梅田さんかわいいし、仁科さんはイケメンだし」

「そう、ですね。本当に」



感心するように言う松さんの言葉に苦笑いで頷くと、ちょうど裏口から出て店の前を通り過ぎたふたりの姿が見えた。



……本当、お似合い。

見た目はもちろん、仁科さんと梅田さんだと40センチ近く身長差があって、彼女はいっそう小柄に見えるし。



梅田さん、顔はもちろん手も足も小さくてかわいらしいんだよね……。うらやましい。

長い指をした、骨っぽい自分の手を見ると憎くなる。



すると、二階からは藤井さんがドタバタと慌ただしく階段を駆け下りてきた。