「げ……噂をすれば、元カレから電話」

「へ？」



梅田さんは眉間にシワを寄せ私たちにスマートフォンの画面を見せた。そこには『着信 健司』と表示されている。



「電話、出なくていいの？」

「多分留守電に伝言入れると思うんで、ちょっと聞いててくださいよ」



留守電を聞くなんて、いいのかな……そう思いつつ、留守電に切り替わる音声に私と松さんは耳をすませる。



『美希……電話出てくれよ。別れるなんて嘘だろ？頼むよ、考え直してくれよ……今日も待ってるから、俺はずっと美希のこと愛してるから』



それだけをボソボソと言うと、プツッ、と通話は切れた。

ツー、ツー、と鳴った音に、私と松さんは怪訝な顔で目を合わせた。



「えっ……今のって」

「元カレなんですけど、超しつこくて。帰りも駅前で待ってたりとかして、超キモいんですよ〜！本当やだ！」

「そ、それ危なくない？いつか事件になっちゃうんじゃ……」



どう別れ話をしたのかはわからないけれど、元カレは納得していないのだろう。先ほどの電話の様子と駅前での待ち伏せと聞くと、危険な想像しかできない。

同じことを考えているのだろう松さんは、思いついたように言う。