「どうもお前は、俺にだけそっけないな」



そんな私の態度は、彼に伝わっていたらしい。

私に向かい合うように立って言う仁科さんに、私は顔を背けたまま口を開く。



「……当然です。先日の自分の発言を思い出してください」



『かわいくない』『コンプレックスの塊』、先日の彼の発言を指すように言うと、その声から不機嫌さが滲み出ているのが自分でも感じられた。



「先日の発言なら、ストレートすぎたって反省してる。悪かったよ」

「本当ですよ。デリカシーがないって言われません?」

「おい、なんで知ってる」



やっぱり……。

良くも悪くも正直なのだろう。

『悪かった』と自ら言うあたり、悪気がないのはわかった。けれどまだ消せない不機嫌に、顔を背けたままの私に、仁科さんは「だが」と付け足す。



「この前も言ったが、かわいくないと言ったのは決して顔のことじゃない。寧ろ、お前の顔は美人だと思うぞ」



び、美人!?

言われ慣れないその言葉に、それまでの不機嫌さから一転、耳はつい過剰に反応してしまい頬が赤らむのを感じた。