思ったより重いなぁ……ひとりでなんて言わずに、誰かに手伝って貰うべきだったかもしれない。

けど仁科さんに頼むのは……やっぱり遠慮したい。



ゴロゴロと台車を鳴らしながら裏へ運び、梱包するべく台の上にビニールを広げる。

すると、台車の上のマットレスは背後から伸ばされた誰かの手によって持ち上げられた。



「あ、すみません。助かりま……、!?」



上坂さんか藤井さんが来てくれたのだろうかと顔を上げると、そこにいたのはなんと仁科さんで、一度断ったはずの彼が現れたことにひどく驚いてしまう。



「に、仁科さん!?どうして……」

「ひとりでは大変だろ。手伝いに来た」



驚きを顔に表す私に対しても、彼は至って平然とした顔のまま。

一見細身なその腕で、マットレスを軽々と台に乗せた。



「……大丈夫って、言ったじゃないですか」

「品番がMLKの物は高級な分重みがあるから、到底大丈夫とは思えない。それに仮に汚れひとつでもつけてみろ、弁償だぞ」

「うっ……」



弁償は、困るけど……。

渋々納得し、ビニールでマットレスを包み始めると、仁科さんも手伝うように手を添える。

骨ばった手の甲に一瞬視線を奪われながら、慌てて作業に取り掛かった。