「はい、この通りの見た目なので。高いところや力仕事は私か男性社員たちの担当で」
へへ、と笑う私に、メガネの奥のその目は冷静なまま。
「……つまり、お前はどちらかというと男の括りだと」
率直な人、だなぁ。
『男』、その言葉がチクリと刺すけれど、へらっと笑ってなんてことないフリをする。
「そうですね。まぁ、男扱いは慣れてますし、私を女扱いしろって方が難しいのも分かってますから」
そう、慣れてる。だからこそ昨夜、彼が女として扱ってくれたことが嬉しかったんだ。
だけどこんな私を知って、きっと彼も同じように私を同性として見るだろう。
そんな諦めも、笑って誤魔化すように。
「そうか、なんとなく把握した」
「へ?なにをですか?」
すると仁科さんはなにかに納得したように頷く。
「お前はかわいくないな」
って、え!!?
「なっ……!?なんですか、いきなり!!」
「誤解するな。見た目じゃなく中身の話だ」
いや、中身でもいやですけど!!
あまりにも唐突なその言葉に驚きを隠せない私に、仁科さんは雑巾を取り出したカゴを奪うとロッカーの上へと戻す。