やってきたスタッフルームには誰ひとりいない。

静かな室内で縦長のロッカーの上を見れば、白いカゴに真新しい雑巾など備品が詰め込まれているのが見えた。



そもそもこんな高いところに物置かないでよ、もう。

けど少し背伸びをすれば届きそうなところが憎い……!



そう少し背伸びをして、背の高いロッカーの上へ手を伸ばす。すると、突然伸びてきた腕がそれを奪うようにカゴを手に取った。



ん?誰……?

不思議に思い振り向くと、すぐ背後には仁科さんが立っている。



「にっ仁科さん!?」



まさか彼がいるとは思わず、驚き体の向きを変えると、彼はいたって普通の顔で私にカゴを渡した。



「どうかしたんですか?」

「いや、そういえばお前に聞こうと思っていたことがあってな」



聞こうと思っていたこと……?

なにかと想像がつかず首を傾げると、そんな私を冷静なその目は映す。