「もう本当うらやましいですぅ。私も千川さんみたいにかっこよくなりたーい」

「そ、そっか……」



そうは思っていないことは明らかで、私を褒めるような言い方をすればするほど、自分のかわいらしさを強調するような言い方に聞こえる。



梅田さん、普通にしていればいい子なんだけど……『小さい女の子』アピールがいつも妙に引っかかるんだよね。

いや、私が自分の身長にコンプレックスがあるからそう聞こえるだけかもしれない。あんまり悪い意味で受け取るのはよくない。うん。



「あっ、そういえば私千川さんに頼みごとがあるんですけど」



自分を納得させていると、梅田さんは上目遣いで私を見ながら思い出したように言う。



「頼みごと?」

「新しい雑巾持ってきてもらってもいいですかぁ?スタッフルームのロッカーの上にあると思うんですけど、私じゃ届かなくて〜」

「あー……雑巾、ね」



『千川さんなら届きますよね』と付け足されるようなその言い方に、「うん、わかった」と苦笑いのまま頷き、私は歩き出した。