すごい、これが売上トップ店舗の店長……!

さすがだと圧倒されていると、仁科さんは私を見た。



「千川、あそこは呼ぶ前に自ら来るように」

「は、はい、すみません」

「だがお客様も安心して商品を見れていたし、丁寧なサポートだったと思う。お疲れ」



厳しく言ったあとにこぼされる、褒めるようなひと言。

教える時は厳しいけど、褒める時はちゃんと褒める人なんだ……アメとムチ、というか、厳しい分嬉しいというか。


どんな顔をしていいか分からずにいると、突然誰かから背中にぎゅっと抱きつかれた。



「本当、あのお客様千川さんにサポートしてもらえてすっごく喜んでましたよ〜。『優しくて丁寧で王子様みたい』って」



その声に振り向けば、そこには私より30センチほど低い背をした若い女の子……後輩スタッフの梅田さんがいた。

くるくると綺麗に巻いた茶色い髪をふたつに結った髪型がよく似合う、大きな目のかわいい顔立ちの梅田さんはまるで彼氏に甘えるように私に抱きつく。



「梅田さん……」

「千川さんみたいなかっこいい人に体支えてもらったり荷物受け取ってもらえたら、お客様も嬉しいですよねぇ。私みたいな小さい女の子にされるより」



『小さい女の子』、の言葉を強調するような言い方に、思わず自分の表情が苦笑いになるのを感じた。