「もー、本当びっくりだよね。仁科店長の話」



仁科さんからの話を終え、私と松さん、梅田さんの3人は、男性たちが去った2階フロアでそのままディスプレイの確認をしていた。

そんな中で松さんが漏らした言葉に、梅田さんは同意し頷く。



「けどまぁ、黙っておくっていうのがまた仁科さんらしいっちゃらしいですけどねぇ」

「翠くん、仁科店長とよく話してるイメージあるけどさ、なんか話聞いてたりしなかったの?」

「い、いえ……全然」



松さんにそう答えるけれど、うまく笑えていないのだろう自分の顔が想像ついた。



……皆と同じように、自分もなにも知らなかった。なんて、情けない。

よく話してる、どころか実際は恋人同士なのに。



どうしてなにも言ってくれなかったんだろう。

黙っているのは彼らしいと言えばらしいけれど、でもそれでも言ってほしかった。