怖い時、傷ついた時、笑って流そうとする彼女に杉本が重なったのは、事実だ。
『俺が、お前を変えてみせる』
あの言葉は、同じことを繰り返したくないという自分なりの決意と願い。
けれど、徐々に芽生えたのは違う感情。
『大切なものがあるからなんですね』
そう、笑ってみせたり
『これが私の、自分を守る術なんです』
涙を見せたり
『だけど、変わりたいと思ってる』
まっすぐな目で、言った。
そんな彼女にいつしか、感じた愛しさ。
それがなんという感情なのか、心ではきっと分かってる。
けど、今それを伝えたところできっと彼女は信じてくれないだろう。
どうすれば、いいのだろう。
どうすれば、伝わるのだろう。
頭の中は、そればかり。
