彼女のその言葉に、本当だろうかと最初は疑っていた……けれど。



大丈夫なのだろうか

大丈夫なのかもしれない

大丈夫なのだろう



徐々にそう信じてしまった。

……彼女が笑顔で繰り返す言葉が、常に本音とは限らないのに。



それから、しばらくが経ってついにその日はやってきた。



『あれ、杉本さんその服新しいやつ?かわいいね』

『はい。ちょっと高かったんですけど、奮発しちゃいました』

『杉本〜、お前いくら高い服着たってその顔は変わらないぞー?』



新しい服に嬉しそうに顔を緩めた彼女に、いつものように向けられた言葉。

そんなことを言うな、と言おうとした一方で、いつものように彼女が笑ってみせるのを想像していた自分がいた。



けれど彼女は、一瞬笑って、徐々に顔をひきつらせて、その瞳からポロッと涙をこぼした。



『杉、本……?』

『あ……すみ、ません、ごめんなさい、私……なんでっ……』



本人もその涙の理由が分からないのか、混乱したように顔を覆うけれど、涙が止まることはない。

そしてそのまま泣き崩れ、彼女はパニックに陥った。



その場は若菜さんがなんとか彼女を落ち着け、送り届け、早退させることで落ち着いた。

けれど、以来彼女が店に出勤してくることはなかった。