いつもならきっと、自分になんて似合わないと目に留めないようなもの。
けど、似合わないとは言い切れない、かもしれない。
……薄めの色くらいなら、大丈夫かな。
一番薄いオレンジ色のリップを手に取ると、レジへと向かった。
髪を伸ばしてみようとか、新たな色を身につけてみようとか、そう思えるのは心の変化。
仁科さんへの気持ちを意識したことで、もっと変わっていきたいと思うようになった。
諦めていた恋心とまた向き合えたように、少しでも自分を好きになれるように変わっていきたい。
この心は、彼のおかげで前を向ける。