自分なんて、と否定してしまう。その理由を話すのは、怖い。

だけど、いつだって優しく受け入れてくれる彼なら、笑わず聞いてくれるんじゃないかとか、私はまた期待せずにはいられなくて。

小さく息を吸い込んで、言葉を発した。



「……私、昔からこんな感じなんです。背が高くて、男兄弟の真ん中だから格好とかも全然女の子らしくなくて」



声が、震える。

恐れをこらえるように、少し長い袖をきゅっとにぎる。



「バレンタインに初めてあげたチョコも、相手に『気持ち悪い』って笑われて、周りの言葉に傷つくことが怖くなって……いつしか、傷つく前に予防線を張るように恋なんて諦めたフリをした」




『うわっ、気持ちわりー!』

『千川みたいなのはマジ無理』



それらの言葉に、笑いながらも傷ついていた。

胸が痛くて、苦しくて、そのつらさを誤魔化すように受け入れたフリで笑って。

それでも心は、夢を見ることを諦められなかった。



「それでも心のどこかでは『いつか本当に自分を分かってくれる人もいるはず』って、夢を見てた自分も、いました」



いつかこんな私にも、王子様は現れるはず。

そんな願いの中に現れたのが、“彼”だった。