雪が積もっている、ということで急遽お店を閉め、仁科さんとやってきた新宿駅。
人で大混みのそこには『雪のため京王線は現在運行見合わせ』という文字が電光掲示板に流れていた。
「や、やっぱり電車止まってた……!」
ずっと店内にいて外も見ていなかったから気づかなかったけれど、夕方頃から雪は降りだしていたらしい。
ここまで来る間にも道は真っ白で、不慣れな雪道を慎重に歩きながら、なんとか駅まで来たはいいけれど……案の定止まってしまっている電車に、私はがっくりとうなだれた。
そうだよね、これほどの雪じゃ電車も走らないよね……。
タクシー乗り場も人がごった返してしまっているし、仕方ない、数時間でも待つしかないか……。
「……はぁ。じゃあ私どこかで時間潰して電車待ちますね」
私の家と比べて、新宿から二駅先という比較的近い位置に住んでいる仁科さんは、歩いてでも帰れる距離だ。
そう言って歩き出そうとした私に、仁科さんは「千川」と腕を引き留める。