……あれ、もしかして。



「……もしかして仁科さん、寒いの苦手なんですか?」



ついポロッと問いかけると、仁科さんは無言のまま、一度こちらに向けた目を私とは正反対に向けた。

『違う』とも言わず、ヒーターの前を陣取ったままで……これはどう見ても、確実だ。



「え!?図星ですか!?札幌にいたのに!?本人こんなにクールなのに!?」

「うるさい。俺は生まれ育ちは東京だし性格は関係ない」



つい大きく驚きを見せ詰め寄ってしまう私に、仁科さんはバインダーで軽く頭を叩いた。

その顔は少し恥ずかしそうで、寒がりだと知られたくはなかったのだろう。



……ちょっとかわいい。

意外な弱点も、少し照れた顔も、またひとつ知る姿に胸がキュンと音を立てた。



「けど寒がりでよく札幌に何年もいられましたね」

「常に重ね着で耐えたんだよ。けどここ数日忙しくてな。溜め込んだ洗濯物を昨夜一気に洗ったら乾かなかった」



あぁ、だから……。

普通の人の服装では寒いのだろう。さらに今日は特別冷えるし……あ、そうだ。



ふと思い出し、私は自分のロッカーへ戻るとバッグからあるものを取り出す。

そして仁科さんに差し出したのは、一枚の貼るホッカイロだ。