「日向くんはよく来るの?」


「たまに来る。いつも誰もいないし、晴れてるときは気持ちいいし」


立ちあがった日向くん。


隣に立つとやっぱり背が高い。


158センチのあたしが見あげてしまうぐらいの身長差。


太陽の光に反射して、日向くんの茶色い髪がキラキラと光る。


耳についた小ぶりのシルバーのピアス。


日向くんの存在は今のあたしにはまぶしすぎる。


「ん?」


視線に気がついた日向くんが、不思議そうにあたしを見つめる。


あたしはあわてて言葉を発した。


「日向くんはいいなぁ。料理上手なお母さんがいて、お父さんは社長さん……だっけ?」


なんの不自由もない生活を送っている日向くん。


友達もたくさんいて、女の子にもモテて、勉強だって運動だってなんでもパーフェクトにできて。


見た目だって完璧だし、性格だっていい。


欠点がなにひとつ見つからない。


あたしは欠点だらけでいいところを見つけるほうが難しいのに。


優柔不断だし、不器用だし、心配性。


運動も勉強も人並にしかできない。


友達を作るのもすごい勇気を出さないといけないし。


自分から声をかけるのはちょっぴり苦手。


でも、日向くんはあたしができないことをサラリとやってのけるからすごい。