【まさかの展開】


朝10時阿田和駅にて待ち合わせ

これが、松坂くんから送られてきたLINEの
内容のすべてだ。どこへいくんだろう?
それを考えるのもまた楽しいのだけど…

朝8時、昨日加奈に選んでもらったワンピース
を着て三面鏡の前に座る。
勿論メイクなんてしたことがない。
だから今日は最低限のメイクをするのだ。

唇に薄くグロスを塗り、頬にチークを重ねる、
最後に薄くアイシャドーを瞼にのせて終わりだ。
あまり変化ないかもしれないが、
これ以上やれば、失敗しそうなので、終了!


少し早いが駅へ向かう、全然時間はあるのに
自然と足が早く動いてしまう。
10時、30分前に駅に着いてしまった。
流石に早すぎただろうか、自分の浮かれ加減
に恥ずかしさが込み上げる。

しかし、ベンチには穴が開くほど観察した
松坂くんの姿があった。
こちらに気づいたようで、走ってくる。

「おはよう。随分早いね、って俺もか…」

あの松坂くんが、いつもクールな松坂くんが
顔を真っ赤にしながらたじろいでいる。
さらに、

「ほんとに楽しみで、ついつい…」

なんて言うのだから私の心のなかには
超大型台風が吹いていた。

(可愛すぎかーい!その照れ具合は反則やないかーい!)

「じゃあ、行こっか」

松坂くんの一言にはっと我にかえる。

「うん。今日はどこに行くの?」

「ん?俺どこ行くって言ってなかったのか!
本当にごめん!今日は水族館に行こうかなって…」

「やったー!大好きだよー!水族館。」

松坂くんは驚いた顔をして

「そっか、良かった…」

そう言ってはにかんだ。
そして水族館行きのバスへ乗り込む。