【勝負服】


「ちょっと加奈さん!?ここって…」

「デートで着るならやっぱこれね!」

そう言って手に取ったのは、ワンピースだ。



「こんなの着たことないよぉ…」

「絶対似合うって!とりあえず着てみ!」

加奈にほぼ無理やりという形で私は、
この白地のシフォンワンピースを着てみることにした。

白地に薄いピンクの花柄、バックレースの
あしらわれた、いかにも女の子!というような
可愛いらしいワンピースだ。
はたして、こんな男子みたいな私が着て
大丈夫なのだろうか?

「慧ー?開けていい?」

「うん…いいよー」

カシャッ

「えっ」

「えっってなによ!?だから似合わないって…」

「いやいやめっちゃいいじゃん!」

「ほんとに?ほんとに大丈夫?」

加奈が無言で頷く。
せっかく加奈が選んでくれたのだから、
これにしよう。


ついでに歩きやすそうな、白いパンプスを買って
買い物を終えた。

「明日頑張りなよ!」

「うん、ありがとう…」

「ちゃんとメイクもするんだよ!」

「がんばります…。」

乗り気でないような態度をとってはいたが、
内心はかなり楽しみで、期待に満ちていた。

(うん!頑張ろう!)

私は、スキップしながら家路へと急いだ。


「日向さん…」


明日大変な事が起こるとも知らずに。